top of page
検索
  • 小澤千絵子

レッスンに心を注ぐ

更新日:2019年6月5日


以前から「教える」ということはとても好きで特別な思いを持っていたのですが、「箏を教える」ということに対しては何かしっくりこないというか、まっすぐに向き合えないで来たのです。


レッスンはいつも楽しく、生徒さんとの出会いや共に音楽に取り組むことはいつも大きな喜びではあったのですが、それ以上に、自分はもっと演奏することに心を注ぎたい、まず自分が上手くなりたい、そんな思いがあり、レッスンに全力投球できずにいたように思います。



そんな私が徐々に箏を教えることに手応えを感じるようになったのは、私が音楽理論などを習っていた作曲の先生が、箏に興味を持ってくれて、学び始めてくれたことがきっかけでした。


その先生は素敵な演奏をされる現役のジャズピアニストでもあるのですが、そんな方が箏という楽器に触れ、その魅力に純粋に感激してくださっているのを目の当たりに経験し、私は目が開かれるような思いでした。



祖母が箏の先生であり、子どもの頃から箏があって当たり前の環境の中で生きてきた私には、箏の楽器としての魅力に対する瑞々しい感性を保ちづらい部分があるのです。


「箏がとても好きです」と言っている人がいると、「この楽器のどこがそんなにいいんですか?」と、いつも純粋に聞きたくなってしまう自分がいます。


それでは私は箏を好きではないのかというとそうではなく、箏はもう私の体の一部となってしまっていて、もう箏なしで生きていくことはできないと思うほど、箏を愛しています。箏を演奏することの中に深い喜びを感じるし、箏は私の思いを受け取ってくれて、また私を癒してくれます。


それでもやはり、自分の一部となった楽器を正当に評価したり、客観的に見るというのはとても難しいものなのだなと思います。



外国へ行き、外国人の物の考え方や価値観に触れて始めて日本の特徴や魅力に気づいたりするのと同じ感覚で、今まで箏を知らなかったジャズピアニストの感性というものを通して、私はもう一度箏を見ることができた、そんな感じでした。



そして私はその先生へのレッスンを通し、改めて箏の特徴や魅力を一つ一つ再発見することができ、このことを多くの人に伝えていきたい、また、それが私にはできるし、すべきなんだ、と思うようになったのです!



「人は人との関わりの中で自分の道を発見していく」ということを感じるひとつの大きな経験でした。



それからは、私なりの感性で箏を教えていく道を模索し、オリジナルのテキストを作ったりしながらレッスンを繰り返しています。そして、その一つ一つのレッスンの中で、生徒さんの目線や感性に教えられ、また新たな発見があり、それが次への方向性を指し示してくれたりと試行錯誤を繰り返しています。



そしてこんな風にレッスンに心を向けていると、用意されていたかのように新しい生徒さんが与えられたりもして…!


心からの感謝とともに、これだけの生徒さんをきちんと導いていくことができるだろうか?という不安入り混じる複雑な思いです。



私はまだまだその道を歩み始めたばかりで未熟なところだらけなのですが、来てくださる生徒さんたち一人一人の存在に支えられつつ、今まで以上に学びながら、自分も成長しながら教えていけたらいいなと思っています。



 

小澤千絵子箏曲研究所

official website

https://tezukachieko.wixsite.com/official-website




閲覧数:43回0件のコメント
bottom of page